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糖尿病と皮膚の病気

広島市中区八丁堀の江草玄士クリニックでは、開院以来20年以上にわたり糖尿病や内分泌疾患の専門的な診療を行ってきました。糖尿病は単に血糖値が高くなるだけの病気ではなく、全身のさまざまな場所に影響を及ぼします。その中でも皮膚のトラブルは、患者さんが日常的に最も自覚しやすい症状の一つです。糖尿病に伴う皮膚の変化は、単なる肌荒れや一時的なかゆみではなく、背景に潜む血糖コントロールの状態や、神経障害、血流障害のサインであることも少なくありません。日本糖尿病学会の専門医・研修指導医として、私たちは皮膚の症状から全身の状態を読み取り、適切なケアを提供することで、患者さんの生活の質を守ることを大切にしています。気になる皮膚の変化がある方は、広電八丁堀駅から徒歩5分の当院へお気軽にご相談ください。

糖尿病と皮膚の病気の症状について

糖尿病を患っている方の多くが、皮膚に関する何らかの悩みを抱えておられます。血糖値が高い状態が続くと、皮膚のバリア機能が低下し、刺激に対して敏感になったり、傷が治りにくくなったりするためです。具体的にどのような症状が現れやすいのかを解説します。

執拗なかゆみと乾燥

糖尿病の初期から見られることが多いのが、全身または局所的な強いかゆみです。血糖値が高いと多尿になり、体内の水分が失われて脱水傾向になるため、皮膚が非常に乾燥しやすくなります。これを皮脂欠乏性湿疹と呼び、特に冬場などの乾燥する季節に悪化する傾向があります。かゆみを我慢できずに強く掻き壊してしまうと、そこから細菌が入って二次感染を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。

糖尿病があると上半身での発汗は増加し、下半身での発汗が減少することが指摘されています。これは自律神経障害によって発汗作用が調整できなくなることが原因の一つです。適切なケアを行わず、かゆみを我慢できずに引っかき続けると色素沈着により皮膚の色が黒ずんでしまうことがあります。そのためなるべく強い刺激は与えずに早い段階で皮膚のケアを行っていくことが重要です。

足の異常と傷の治りにくさ

足の皮膚に現れる症状は、糖尿病において最も警戒すべきものの一つです。足の指の毛が抜けたり、皮膚が不自然に光沢を帯びて薄くなったりするのは、血流が滞っている証拠かもしれません。また、小さな靴擦れや怪我であっても、なかなか治らずに膿んでしまうことがあります。これは高血糖によって免疫力が低下していることと、血管障害によって傷を治すための栄養が末端まで届きにくくなっていることが重なっているためです。足の健康状態については「糖尿病と足の病気」のページでも詳しく解説しています。

皮膚の色の変化とシミ

糖尿病に特徴的な皮膚の変化として、脛(すね)の部分に茶褐色の斑点ができることがあります。これは糖尿病性 shins spots(シン・スポット)と呼ばれ、小さな血管の障害が原因と考えられています。痛みやかゆみはないことが多いのですが、血糖コントロールの指標として役立つことがあります。また、首の周りや脇の下などの皮膚が黒ずんで厚くなる黒色表皮腫が見られることもあり、これはインスリンの効きが悪くなっている状態(インスリン抵抗性)を示唆する重要なサインです。

糖尿病と皮膚の病気の原因について

なぜ糖尿病になると皮膚に多様なトラブルが生じるのでしょうか。その理由は大きく分けて、高血糖による体質の変化、神経の障害、そして血管の障害の3点に集約されます。

免疫機能の低下と感染しやすさ

血液中の糖分が多い状態が続くと、白血球や免疫細胞の機能が低下します。本来であれば追い出せるはずの細菌やカビ(真菌)に対して無防備になり、皮膚感染症にかかりやすくなります。糖尿病があると免疫機構が低下し、感染症を起こしやすくなります。健康な方であれば問題にならないようなわずかな傷からでも、深い組織まで感染が広がるリスク因子となります。八丁堀の当院では、こうした感染を防ぐための早期治療を徹底しています。

自律神経障害による発汗の乱れ

糖尿病の合併症である神経障害が進むと、汗の量を調整する自律神経にも狂いが生じます。足に汗をかかなくなると、皮膚は油分と水分を失ってカサカサになり、ひび割れが生じます。その一方で、上半身には異常に多くの汗をかくようになることがあり、これがさらなる皮膚の不快感やかゆみにつながります。神経障害については、糖尿病の専門的な診断が必要な分野です。

血流障害による再生能力の低下

長年の高血糖は、太い血管だけでなく毛細血管という細い血管もボロボロにします。皮膚に十分な酸素や栄養が届かなくなるため、皮膚そのものが弱くなり、新陳代謝も遅れます。これが予後を左右する足潰瘍などの深刻なトラブルの引き金となります。私たちは頸動脈エコーなどを用いて、全身の動脈硬化の進み具合を確認しながら、皮膚の健康維持にも努めています。動脈硬化の詳細は「動脈硬化について」のページをご覧ください。

糖尿病と皮膚の病気の種類について

糖尿病に関連する皮膚疾患は多岐にわたります。当院の臨床現場でよく拝見するものを中心に、いくつかのカテゴリーに分けて紹介します。

感染症(細菌・真菌・ウイルス)

最も頻度が高いのが感染症です。血糖値のコントロールが乱れているときほど、以下のような病気が発症しやすくなります。

  • 水虫(足白癬・爪白癬)・・通常の2倍程度のリスクがあると言われています。
  • 蜂窩織炎(ほうかしきえん)・・皮膚の深い部分に細菌が入り込み、激しく腫れて痛みや熱が出ます。
  • カンジダ症・・股間や指の間など、蒸れやすい場所にカビが繁殖し、赤みやかゆみが生じます。
  • 帯状疱疹・・ウイルスに対する抵抗力が落ちることで、痛みと水ぶくれを伴う発疹が現れます。

細菌感染を主体とした蜂窩織炎などは、放置すると壊死性筋膜炎という命に関わる重篤な状態に進むことがあるため、早急な抗生剤投与が必要です。特に足は日常からケアをしたり、血糖値を改善することが重要になります。

糖尿病特有の皮膚疾患

糖尿病の患者さんに見られる、少し珍しい特有の疾患も存在します。これらは一般的な湿疹とは治療法が異なるため、正確な診断が欠かせません。

  • 脂肪類壊死(しぼうるいえき)・・脛(すね)の皮膚が黄色や茶色に変色し、陥没したり光沢を帯びたりします。
  • 後天性反応性穿孔性膠原繊維症(ARPC)・・非常に強いかゆみを伴う盛り上がった発疹ができ、中央がくぼんで角質の栓ができます。
  • 糖尿病性浮腫性硬化・・首から背中にかけての皮膚が、硬く厚くなり、つまみ上げることが難しくなります。

爪の変化

糖尿病があると爪にも変化が認められることがあります。爪の水虫になると爪が濁り、分厚く脆くなります。また、血行障害が出てくると足の指の毛がなくなり、爪が伸びにくく、黄色く変化することがあります。爪の変化は隠れた内臓疾患を発見するサインかもしれません。

薬剤による皮膚疾患(DPP-4阻害薬関連)

糖尿病の治療薬であるDPP-4阻害薬を使用している方に、まれに水疱性類天疱瘡という、全身に水ぶくれができる自己免疫性の病気が生じることがあります。高齢の方に発症しやすく、薬を中止することで軽快する場合が多いですが、慎重な判断が必要です。

糖尿病と皮膚の病気の治療法について

治療の基本は「血糖値のコントロール」と「適切な局所ケア」の両輪です。広島市の江草玄士クリニックでは、皮膚科的なアプローチと内科的なアプローチを統合して治療を行っています。

血糖コントロールの最適化

皮膚トラブルの多くは、高血糖が土台にあります。どんなに良い塗り薬を使っても、血糖値が高いままでは寛解(症状が落ち着いて安定すること)は望めません。当院では、最新のエビデンスに基づいた薬剤調整や、専門のスタッフによる生活習慣のアドバイスを通じて、皮膚が自ら治る力を取り戻せるような体内環境を整えます。食事の相談については「栄養指導のご相談」のページが参考になります。

保湿とバリア機能の保護

乾燥によるかゆみに対しては、保湿剤を正しく使うことが第一歩です。

  • 入浴後すぐ(5分以内)に保湿剤を塗布する。
  • ヘパリン類似物質や尿素配合のクリームなど、肌の状態に合わせたものを選ぶ。
  • 炎症が強い場合には、短期間ステロイド外用剤を併用してかゆみの連鎖を断ち切る。

当院では、患者さんのライフスタイルに合わせ、使い続けやすい保湿の方法をご提案しています。

感染症への積極的な治療

水虫や蜂窩織炎が見つかった場合は、抗真菌薬や抗生剤を用いて集中的に治療します。特に爪水虫などは塗り薬だけでは治りにくいため、内服薬の併用を検討することもあります。ご家族への二次感染を防ぐための衛生指導も行っています。

外科的なアプローチが必要な場合

Dupuytren(デュピュイトラン)拘縮のように、手のひらの組織が硬くなって指が曲がってしまうような疾患では、程度に応じて注射や手術が必要になる場合があります。私たちは市内総合病院の専門医と密に連携し、必要があれば速やかに紹介できる体制を整えています。

写真は手のひらに生じた拘縮の症例です。適切な処置によって機能が改善し、日常生活に戻ることが可能です。糖尿病に関連した皮膚の症状は非常に多いため、治りにくい症状がある場合は早めにご相談ください。

糖尿病と皮膚のトラブルについてのよくある質問

Q1. 血糖値が下がれば皮膚のかゆみはすぐになくなりますか?

A1. 血糖値が安定してくると、脱水傾向が改善されてかゆみが和らぐことが多いですが、長年の乾燥でダメージを受けた皮膚が回復するには時間がかかります。血糖コントロールと並行して、丁寧な保湿ケアを数週間から数ヶ月継続することが大切です。

Q2. 糖尿病による水虫は他の人より移りやすいのでしょうか?

A2. 糖尿病があるからといって、周囲の人に菌を移す力が強くなるわけではありません。しかし、ご本人の免疫が低下しているため、一度感染すると治りにくく、重症化しやすいという特徴があります。早期に治療を開始し、足ふきマットなどの共有を避けることが推奨されます。

Q3. 脛(すね)の茶色いシミは消すことができますか?

A3. 糖尿病性 shins spots と呼ばれるシミは、血管障害による色素沈着であり、一度できると消えにくい性質があります。しかし、血糖コントロールを良好に保つことで、新しいシミができるのを防ぐことが期待できます。

Q4. 足に魚の目やタコができたのですが、自分で削っても良いですか?

A4. 糖尿病の方は絶対にご自身で削らないでください。感覚が鈍くなっていると深く削りすぎてしまい、そこから細菌感染を起こして壊疽(えそ)につながる恐れがあります。必ず医療機関で処置を受けてください。

院長より

江草玄士クリニックのホームページをご覧いただきありがとうございます。私は広島大学医学部付属病院で長年、糖尿病や内分泌疾患の臨床と研究に打ち込み、2000年に広島市中区八丁堀でこのクリニックを開院いたしました。日本糖尿病学会の専門医・研修指導医として、数多くの患者さんの合併症と向き合ってきましたが、皮膚のトラブルは決して軽視してよいものではありません。かゆみによる不眠や、足の傷からの感染は、患者さんの生活の質を大きく損なう原因となります。

私たちの強みは、皮膚の症状を単なる表面の問題として捉えるのではなく、糖尿病という全身疾患の一部として包括的に診断・治療できる点にあります。院内ですぐに血糖値や合併症の状態を確認し、皮膚のケアと同時に根本的な血糖管理を最適化することができます。小難しいことを申し上げるつもりはありません。ただ、「最近肌がカサつく」「足の爪の色がおかしい」といった、ちょっとした違和感を大切にしていただきたいのです。

糖尿病の合併症予防には「早期発見・早期治療開始・治療を中断しないこと」の三点が何より重要です。地域の皆様が、不安を感じたときに真っ先に思い出していただけるような、そんな親しみやすく頼れるクリニックでありたいと考えています。八丁堀駅から歩いてすぐの場所にありますので、お買い物や仕事帰りなど、どうぞお気軽にご相談にいらしてください。私たちと一緒に、健やかな毎日を守っていきましょう。

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