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脂質異常症について

1.脂質異常症とは

低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)、トリグリセライド(TG)の高値、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)の低値はいずれも動脈硬化の危険因子であり、どれかが認められれば「脂質異常症」と診断します。

これまで動脈硬化の危険因子として使われていた「高脂血症」はLDL-CやTGの増加を意味しますが、HDL-C低値は含まれないため、すべてを含む病名として「脂質異常症」が用いられるようになりました。

変性してゴミのようになった悪玉コレステロール(LDL-C)が血管壁に溜まると、動脈硬化症の原因となる丘状の盛り上がり(プラーク)が形成されます。

プラークが破裂してそこに血栓ができると血管内腔が塞がれ、血流が途絶えるため心筋梗塞や脳梗塞を発症します。

HDLは血管壁に溜まった余分なコレステロールを引き抜いて肝臓へ運び、処理する働きを担っています。

動脈硬化予防作用があるため「善玉コレステロール」といわれています。 TGは血管壁に直接溜まることはありません。

しかし高TG血症があるとLDLが小型化して血管壁に侵入しやすくなり、プラークができやすくなります。

またTGが高いとその処理が間に合わなくなり、不消化産物(レムナント)が増加します。レムナントも血管壁に溜まりやすく、プラーク形成を促します。

したがって高TG血症は動脈硬化を促進する影の主役ともいえます。また著しい高TG血症は急性膵炎を引き起こすことがあり注意が必要です。

 

2.脂質異常症の診断基準

脂質異常症の診断基準が日本動脈硬化学会から公表されています1)

日本の研究結果を総括して提案されたもので広く用いられています。10時間以上の空腹状態で検査します。

LDL-C 140mg/dL以上、TG 150mg/dL以上、HDL-C 40mg/dL未満が診断基準です。(表1)

 

最近Non-HDL-Cという指標が用いられるようになりました。これは善玉のHDL-C以外の動脈硬化を促進する悪いコレステロールをすべて含む指標です。

悪玉のLDL-C単独で判断するよりNon-HDL-Cのほうが優れた指標であるとの報告も見られます。

総コレステロール値からHDL-Cを引き算するだけなので食後受診した患者さんの指標にもなります。

LDL-Cより約30mg/dL高いので、診断基準はNon-HDL-C 170mg/dL以上です。

 

3.続発性脂質異常症に注意

脂質異常症には他の原因による続発性脂質異常症があるので注意が必要です。

高コレステロール血症をきたす代表的な疾患は甲状腺機能低下症、高度のタンパク尿を伴うネフローゼ症候群、クッシング症候群、原発性胆汁性胆管炎などです。

ステロイドホルモン、経口避妊薬など服用中の時も高コレステロール血症を生じることがあります。

高TG血症はアルコール過剰摂取、果糖過剰摂取、糖尿病などで高率に見られます。

逆にバセドウ病、肝硬変、がん、栄養不良状態などではコレステロールが異常に低くなることがあります。

また喫煙、肥満、糖尿病、運動不足などではHDL-Cが低くなります。

脂質異常症を見たときは何か別の原因が潜んでいないかよく注意する必要があります。

これらの多くは原因疾患の治療で改善します。

 

4.脂質異常症の管理目標値

虚血性心疾患の初発予防(一次予防)、再発予防(二次予防)のための脂質管理目標値が示されています(表2)1)

 

 

 

虚血性心疾患の既往がない一次予防の場合、中高年であれば一般的にLDL-C 140mg/dL未満を目標とすればよいでしょう。

ただし糖尿病、慢性腎臓病、脳梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症を合併していると虚血性心疾患の危険性が高まるのでLDL-C 120mg/dL未満と管理目標が少し厳しくなります。

すでに狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患の既往があるときはLDL-C 100mg/dL未満が管理目標です。

発症後間もない虚血性心疾患(急性冠症候群)、遺伝性の家族性高コレステロール血症(次項参照)、様々な合併症を有する糖尿病患者などは特に再発の危険性が高いのでLDL-C 70mg/dL未満を管理目標とすることが提示されています。

初発予防、再発予防いずれでもTG 150mg/dL未満、HDL-C 40mg/dL以上が共通した管理目標です。

一次予防では食事療法、運動療法など生活習慣改善を十分行ったのち、効果がなければ薬物治療に進みます。

しかし二次予防では生活習慣改善とともに直ちに薬物治療を開始します。

早期から厳しく管理することが二次予防に求められているからです。

 

5.家族性高コレステロール血症に注意

遺伝性で頻度の高い高コレステロール血症を呈する疾患として重要なのが

「家族性高コレステロール血症」です。

LDLは受容体に結合し肝臓や組織に取り込まれます。この受容体に関連する遺伝子異常のためLDLの処理が障害され、血液中にLDL-Cが異常に増加する疾患です。

生まれた時から高コレステロール血症にさらされるため、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患がより若い年齢で発症します。

LDL受容体の一つの遺伝子に異常があるヘテロ接合体と二つの遺伝子に異常があるホモ接合体があります。

両親の一方がヘテロ接合体、もう一方が健常者の場合、子供の50%がヘテロ接合体の体質を持つことになります。

ヘテロ接合体の患者は人口約500人に一人、ホモ接合体は100万人に一人程度の割合で存在します。したがってヘテロ接合体の患者さんは稀ではありません。

家族性高コレステロール血症の身体的所見として

  • 足のアキレス腱の肥厚(外に向かい盛り上がったり、幅が太くなったり、凸凹不整になったりする)
  • 肘、膝、手の甲、あるいは瞼の鼻側にコレステロールが溜まった黄色の結節ができる
  • 黒目のふちに白いリング状の沈着が見られる

などの特徴が知られています。

これらの所見の現れ方は重症度の違いにより個人差があります。

 

家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(15歳以上の成人)は

  1. 治療前のLDL-Cの値が180mg/dL以上
  2. アキレス腱などの腱黄色腫や皮膚の黄色腫が存在
  3. 家族歴(家族性高コレステロール血症が親兄弟にいる、あるいは男性55歳未満、女性65歳未満で発症した虚血性心疾患の患者が親兄弟にいる

の3項目のうち2項目以上あれば診断できます。

 

生活習慣改善療法の効果は得られにくいので薬物療法が必須です。

効力の強いスタチン、腸管でコレステロールの吸収を阻害するエゼチミブなどを組み合わせて服用します。

薬剤の効果が不十分の時、あるいは副作用で服用できない時はPCSK9阻害剤という注射薬を使うことがあります。

治療目標値は虚血性心疾患の一次予防の場合LDL-C 100mg/dL未満、又は治療前値の50%未満、二次予防の場合はLDL-C 70mg/dL未満とされています。

家族性高コレステロール血症は動脈硬化の進行が速いため、心筋梗塞の発症年齢が一般の高高コレステロール血症患者より若年化します。

定期的に動脈硬化の評価(心電図、頸動脈エコー、心エコー、足関節上腕血圧比、X線検査、CT、MRIなど)を行い動脈硬化病変の早期発見・早期治療につなげる必要があります。

図1は家族性高コレステロール血症患者さんの治療前後の頸動脈エコー所見の比較です。

 

初診時には総コレステロール値316mg/dLと非常に高く、コレステロールの蓄積を示す頸動脈内膜中膜複合体肥厚(IMT)が2.0mm(通常1.0mm以下)もありました。

スタチンで治療後、総コレステロール値は200mg/dLに低下し、6年後にはIMTが1.7mmと改善しました。

家族性高コレステロール血症は生下時からコレステロールが高値を示します。

15歳未満の小児の診断基準はLDL-C 140mg/dL以上、およびすでに述べた家族歴3項目中2項目が当てはまることとされています。

アキレス腱肥厚などの腱黄色腫は小児では明らかでないことが多く、診断基準に入っていません。LDL-Cの治療目標は140mg/dL未満とされています。

幼少時の食事療法など生活習慣の管理は難しい面がありますが、LDL-C値が180mg/dL以上が持続する場合10歳以上になれば薬物療法を考慮します。

小児にはピタバスタチンが適応となっており、副作用に注意しながら慎重に投与します。

 

6.女性の脂質異常症

閉経前の女性の血清コレステロール値は男性に比べると低値です。しかし50歳代以降急激に上昇し男性のコレステロール値よりも高値となります(図2)2)

 

閉経前の女性の心筋梗塞発症率は男性より極めて低く、閉経後増加します。

これは女性ホルモン(エストロゲン)の脂質改善作用(LDL-C低下, HDL-C増加など)や血管内皮細胞に対する保護作用によるものと考えられています。

閉経後はエストロゲンが減少するため女性ホルモンの動脈硬化防御作用が失われ心筋梗塞が増加します。

脂質異常症以外にも、女性の動脈硬化危険因子として特に注意が必要なのは糖尿病と喫煙です。

健常者に比べて糖尿病では虚血性心疾患の発症率が高くなりますが、この傾向は女性で男性より顕著であり、その危険性は女性が男性より44%高いとの報告があります3)

喫煙も女性の心筋梗塞の発症率を非喫煙者の3~8倍高めることが明らかにされており、男性より影響が大きいといわれています。

女性の喫煙は厳に慎む必要があります。

閉経前女性では動脈硬化性疾患のリスクは低いので、脂質異常症の治療は生活習慣への介入がより重要です。

ただし虚血性心疾患二次予防例、糖尿病、家族性高コレステロール血症など虚血性心疾患ハイリスク患者では薬物療法の適応を考慮します。

閉経後女性においても治療の考え方は閉経前と変わりはありません。

閉経後は女性の脂質異常症が急増しますが安易な薬物療法は控えるべきです。

薬物療法の必要性を判断するうえで頸動脈エコーは有用な検査です。

 

7.高齢者の脂質異常症

動脈硬化は加齢とともに進行し、虚血性心疾患、脳梗塞などの発症率は高齢者ほど高くなります。

高齢者では脂質異常症など危険因子の動脈硬化に対する影響は若年者に比べ弱くなります。

しかし日本人を対象とした研究(EPOC-JAPAN)では、40-69歳の成人同様70-89歳の高齢男性においても血清C値の上昇とともに虚血性心疾患の死亡リスクが増加することが報告されており4)、高齢者でも脂質異常症の管理は必要です。

スタチンによるコレステロール低下療法の効果について、虚血性心疾患の二次予防効果は60-65歳の前期高齢者、65歳以上の後期高齢者ともに有効性が明らかにされています。

一方虚血性心疾患の一次予防効果は前期高齢者のみ認められており、後期高齢者に対するスタチンの一次予防効果はまだ明らかにされていません。

したがって虚血性心疾患一次予防では前期高齢者の脂質管理は65歳未満の成人と同じ考えで対応します。

危険因子として重要な加齢がすでに存在するので、表2の一次予防低リスクを除いて用います。

他の危険因子がなければLDL-C 140mg/dL未満、糖尿病や慢性腎臓病、脳梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症などの合併がある場合はLDL-C 120mg/dL未満が管理目標です。

HDL-C、TGの管理目標はそれぞれ40mg/dL以上、150mg/dL未満と変わりはありません。

後期高齢者の虚血性心疾患一次予防に対する脂質低下療法の有効性は明らかでなく、主治医と相談して治療の必要性を検討します。

虚血性心疾患を合併した前期、および後期高齢者のLDL-C 管理目標は100mg/dL未満です。

家族性高C 血症、発症後間もない虚血性心疾患などの場合、主治医の判断でLDL-C 70mg/dL未満を目標とすることもあります。

 

8.脂質異常症の治療

①生活習慣改善

A)運動療法

身体活動度を高めることは血清TG値低下、HDL-C上昇など脂質値によい効果を現します。

LDL-Cは運動であまり低下しません。しかし悪玉の程度がより強い小粒子高密度LDLが減少するため動脈硬化予防効果が期待できます。

運動の種類として呼吸をしながら持続できるウォーキング、サイクリング、水泳などの有酸素運動が適しています。

激しい運動の持続は膝の障害の原因となり、心臓にも過度の負担がかかります。動脈硬化を促進する酸化ストレスの増強をきたすことも知られています。

無理なくできる範囲で長く続けられる運動が効果的です。家庭内でも座る時間をできるだけ短くするよう意識します。

 

B)食事療法

食事療法の基本は食べ過ぎないこと、主食や副食の内容をバランスよくすることです。

まず野菜をしっかりと食べることが大切です。

野菜にはビタミンや食物繊維、ミネラルが豊富に含まれ脂質吸収抑制、腸内環境の改善など幅広い効果があります。

海藻類もミネラルや食物繊維を多く含むので摂取が推奨されています。ヨウ素含有量が多いので甲状腺疾患の患者さんは摂りすぎないように注意が必要です。

副食は脂肪分の少ない物を摂るよう工夫します。肉は脂身の少ないものを選び、揚げ物料理より煮る、焼く、蒸すなどの調理法を選びます。

ごはん、パンなどの炭水化物も過剰にならないよう注意し、果物は糖度の低いものを適量食べるようにします。

アルコールの過剰摂取は高TG血症を引き起こし、また食欲増進作用のためカロリーオーバーとなりやすく制限が必要です。

瓶ビール中瓶一本、日本酒1合、焼酎グラスに半量(100ml)程度にとどめます。

 

日本動脈硬化学会から脂質異常症の食事療法のポイントが示されています(表3)5)

 

②薬物療法

生活習慣の改善で2~3か月経過を見ても脂質異常が改善しない場合、薬物療法を検討します。

虚血性心疾患の既往がある二次予防患者や家族性高コレステロール血症では心疾患発症の危険性が高いので、生活習慣改善の指導と同時に薬物療法を併用することもあります。

薬物療法が必要か否か判断に迷うのは、虚血性心疾患未発症の一次予防の場合です。

特に女性の虚血性心疾患発症率は男性より低率であり、高コレステロール血症の薬物療法による予防効果のメリットがあるのか疑問です。

日本で行われたMEGA Studyの女性対象検討において、約5000例の心血管疾患の合併のない高脂血症患者を、食事療法単独群と食事療法+スタチン併用群の2群に分け前向きに5年間追跡した結果が報告されました。

その結果、虚血性心疾患と脳梗塞を合わせた心血管疾患の発症は55歳以上の年齢層でスタチン併用群のほうが有意に低くなっており、閉経後の女性においてスタチンによるLDL-C低下療法の有用性が明らかになりました6)

脂質異常症治療薬として多用されるのはスタチン、エゼチミブ、フィブラート系薬、多価不飽和脂肪酸という4種類の内服薬です。

最近PCSK9阻害剤という注射薬も使われています。

 

1:スタチン

コレステロールは細胞膜の成分、ステロイドホルモンや性ホルモン、消化液の胆汁酸の材料となるなど大切な働きをしています。

コレステロールは主に肝臓で合成され一部が食事から吸収されます。

コレステロール合成を調節する重要な酵素がありHMG CoA還元酵素といいます。この酵素の働きを阻害する薬がスタチンです。

スタチンで酵素の作用が阻害されると細胞内のコレステロールが欠乏するため、細胞は受容体をたくさん作り血液中のコレステロール取りこみを増加させます。

その結果血液中のコレステロールは低下します。

スタチンは高コレステロール血症の治療に最も高頻度に使われており、虚血性心疾患の一次予防、二次予防に極めて有効であることが多くの研究で明らかにされています。TGを低下させる効力はあまりありません。

副作用は肝機能障害、筋症状(筋肉痛、筋脱力)などが時に見られます。稀に横紋筋融解症という重篤な筋障害が出現します。

筋肉痛、脱力とともに濃い紅茶のような色をした尿が見られ、血液検査では筋肉の破壊を示すクレアチニンキナーゼ(CK)が異常高値を示します。

腎機能障害、脱水、激しい筋肉運動などが誘因になるので注意が必要です。

またあとで述べるフィブラート系薬との併用時も横紋筋融解症のリスクが高まるので注意が必要です。

スタチンは膵臓のインスリン分泌抑制、肝臓のブドウ糖産生亢進などの作用をもつため、糖尿病発症が10-12%増加するといわれています。

またスタチンには催奇形性作用があり、妊娠中、授乳中は服用できません。

妊娠を希望する場合は服用をいったん中止し、妊娠、出産、授乳が終わってから再開する配慮が必要です。

主治医と相談し妊娠の許可をもらう計画妊娠が望ましいと考えます。

 

当院で主に使用しているスタチンは以下の4種類です。

  • プラバスタチン(コレステロール低下作用はやや弱いが副作用が少ない)
  • アトロバスタチン(コレステロール低下作用が強い)
  • ピタバスタチン(コレステロール低下作用が強い)
  • ロスバスタチン(コレステロール低下作用が強い)

これらの中でアトロバスタチンはグレープフルーツと相性が悪いといわれています。

グレープフルーツのクラノクマリンという成分が、小腸にあるアトロバスタチンを代謝する酵素の作用を阻害するため血中濃度が上昇するからです。

ミカンやオレンジ、レモンにはこのような酵素阻害作用はありません。

 

2:エゼチミブ

小腸の粘膜でコレステロール吸収を担うトランスポーターを阻害する薬です。

食事や胆汁からのコレステロール吸収が下がるため血中コレステロールが低下します。

スタチンに比べるとコレステロール低下効果は弱い薬です。スタチンとの相性がよく、併用するとスタチンを倍量投与するよりコレステロールが下がります。

副作用として筋症状が稀に出現します。

 

3:フィブラート系薬

TG低下作用の強い薬剤であり、高TG血症の第一選択薬です。コレステロールを下げる効果は強くありません。TG低下に伴いHDL-Cが少し増加します。

また動脈硬化惹起作用が強く粒子サイズの小さい小粒子高密度LDLを低下させます。

スタチンに比べると虚血性心疾患の一次、二次予防効果は弱いと考えられています。

腎機能障害患者では先に述べた横紋筋融解症の危険性が高くなりますが、スタチンとの併用時は特に注意が必要です。

最近脂質代謝に関与する遺伝子に選択的に作用し、その他の遺伝子に及ぼす影響を減弱させたTG低下薬が発売されました(ペマフィブラート)。

従来のフィブラート系薬に比べ副作用が少なく効力が強い特徴があります。非アルコール性脂肪性肝炎などへの効果も期待されています。

 

4:n-3系多価不飽和脂肪酸

魚油に多く含まれるイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は肝臓でTGを多く含むリポ蛋白(VLDL)の合成を抑え、TGを下げる作用があります。

また血液を固まりにくくし、炎症を抑える作用もあります。

これらを用いた薬剤がオメガ3脂肪酸エチルとイコサペント酸エチルです。

TG低下効果はフィブラート系薬ほど強くありません。時に胃腸障害が見られます。

 

5:PCSK-9阻害剤

細胞にコレステロールを取り込むLDL受容体が活発に働くと、血中コレステロールは低下します。

PCSK-9は肝臓で作られる物質でLDL受容体に結合し分解する作用を持っています。

PCSK-9の作用をブロックし、LDL受容体の働きを高めて血中コレステロールを低下させる目的で作られた注射薬がPCSK-9阻害剤です。

スタチンと併用するとコレステロールが50%近く低下します。

家族性高コレステロール血症や虚血性心疾患二次予防でスタチンの効果が不十分な場合などに用いられます。

大きな副作用はありませんが、長期安全性がまだ確立されていません。薬価が高いので適応を慎重に選んで使うことが必要です。

 

 

(参考文献)

  1. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版:日本動脈硬化学会編
  2. Arai H et al: J Atheroscler Thromb, 12. 2005
  3. Peters SA et al: Diabetologia, 57. 2014
  4. Nagasawa SY et al: J Am Heart Assoc,1. 2012
  5. 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版:日本動脈硬化学会編
  6. Mizuno K et al: Circulation, 117. 2008

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